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アカツキCEO塩田が語る「ハートドリブン」な新ビジョンとは?

2018.08.02

2018年8月2日。アカツキはビジョンとミッションをアップデートしました。

アカツキの会社紹介や各種資料は、たいていビジョンから始まります。これまでのビジョンにあった「感情報酬」という言葉は、アカツキの価値観を言語化した合言葉として、社内で日常的に繰り返し語られています。そんなところから、アカツキは「ビジョンドリブンな会社」とも言われてきました。

そして、創業8年目のこのタイミングでなぜ、ビジョン・ミッションをアップデートするに至ったのか。「ハートドリブン」という新ビジョンにはどんな意味が込められているのか。

代表取締役CEOの塩田元規がアカツキメンバーに語ったスピーチをもとに、紐解いていきます。

徹底的にビジョンと向き合った5ヶ月間

—  なぜ、ビジョン・ミッションを進化させるのか?

アカツキがこれまで大事にしてきた「感情を報酬に発展する社会」というビジョンと、「ゲームの力で世界に幸せを」というミッション。これらの想いそのものは、今も変わりありません。むしろ、その想いは以前にも増して強くなっています。

一方で、アカツキの成長とともに事業・組織のグローバル化と多様化も加速度的に進んでいます。台湾やLAで働くアカツキのメンバーはもちろん、海外の取引先や起業家と英語でコミュニケーションする機会も増えました。端的に言えば、日本でも海外でも共有できる言葉、つまり英語でビジョン・ミッションを語れるようにしたかったのです。

また、モバイルゲーム事業は重要な柱として成長を続けていますが、それに加えて、ライブエクスペリエンスや映像など、アカツキがより幅広いエンターテインメント事業も手がけるようになってきました。自ずとミッションをもっと広い概念でメッセージしたくなってきました。

アカツキのこの大きな成長に合わせて、僕らの想いをさらに伝えやすくするため、このタイミングでビジョン・ミッションをアップデートすることにしたのです。

アカツキの社員全員が参加する夏の合宿で、CEO塩田から新ビジョン・ミッションの説明があった。なぜ、ビジョン・ミッションをアップデートするのか、時間をしっかり取って丁寧に話したい、という強い想いがあってのことだった

—  奇跡の連続する中で生まれた言葉たち

新しいビジョン・ミッションを書き始めたのは今年の3月頃からなのですが、幾度となく書いたり削ったりの繰り返しで、僕と香田(※1)はこれに果てしなく時間を使ってきました。
※1 アカツキ共同創業者 取締役 COO 香田哲朗

その中では、僕たち自身が進化を促されたり、色んな人に思いを添えてもらったりと、さまざまな出来ごとが反映されて、このビジョン・ミッションは完成しました。もちろん、ビジョンと向き合うプロセスではつらいこともあったのですが、僕たち二人にとって、この5ヶ月間はとても素晴らしい時間でした。本当に驚くような奇跡を毎日のように味わってきて、今、こんな風にビジョンと向き合う機会をくれたすべての人に感謝しています。

それでは、初めて聞くという人もいると思うので、これから改めて読みます。目を閉じて、聴いてください。

迷いの体験から気づいた本当の原動力とは?

—  パワーは外ではなく内側から「Driven」するもの

“ A Heart Driven World. ” 

「A Heart Driven World」という言葉にたどり着くまでには、とても時間がかかりました。ドライブという言葉は、いろいろ考えた中で一番いい言葉だったと思っています。

一般的な組織ではインセンティブという言葉が使われることが多いかもしれません。インセンティブは馬の前にニンジンを吊り下げるように、目の前にエサを提示して人を動かすという発想です。

それに対してドライブという言葉には、内側から動き出す、という意味合いがあります。自分の内側のエンジンを稼働させようという想いで、この言葉を選びました。

—  他人からの評価や称賛を求めてしまった過去の自分

“ 世界を動かす原動力とはなんでしょうか。 ”

世界を動かす原動力は人の外側にあるものではなくて、自分の心の内側にあるものです。世界がどういう風に見えているかという問いは、人の心がどのように動いているかというものと同じ。

僕自身も会社を経営してきて、すごくつらいことがたくさんありました。僕の場合は、過度に外側に期待を求めすぎた。他人からの評価や称賛を考えながら、ひたすら頑張ってもあんまり上手くいきませんでした。そういった僕自身の迷いの体験も見つめた結果、こうした言葉に行き着きました。

ビジョン・ミッションのアップデートに際してはプロのコピーライターの協力も得ながらも、最終的には塩田と香田の二人が5ヶ月かけて生み出した「アカツキの言葉」で完成された

自分と他者、自分と世界のつながりを見つめて

—  深い奥にある心の扉を開く「鍵」とは何か?

“ 感情を鍵に、心の扉を開いていく  ”

「感情の鍵」と「心の扉」については、役員会議で制作過程のビジョンについて共有していた時に、僕が「感情というのは鍵なんだよ」という話をしたら、それをそのまま取り入れた方がいいんじゃないか、という意見があり、入れることにしたフレーズです。

書いた後で気づいたことなのですが、怒りや怖れもすべて感情のひとつ。そうした感情と向き合うのは怖いけれど、受け入れてしまえば、また一歩、自分らしさが手に入るように思います。

もちろん、自分の気持ちを表面的には分かっているつもりでも、自分が自分の本心とちゃんとつながっているのかまでは分かりません。心は常に変わっていくものだし、心の扉はどこまでも深くにある。

一時の怖さにとらわれていると、それを相手に投影してしまって、イライラしたり滅茶苦茶にしようとしたりしてしまう。表面にそんな感情が現れてしまったら、それは相手に向かってファイティングポーズをとっているのと同じことです。

そんな状態が人を戦争へと向かわせます。他人を攻撃することよりも、自分の内面に向き合っていくことの方が大事で、自分が怖いと感じるその奥には、なにか輝くような感情があるはず。「愛」や「好き」って感情が「怖い」の奥に隠されているかもしれない。

実を言うと、3月の初め頃、最初にビジョンとミッションを書いた時は、ちょっと偉そうだったんです。「僕たちの世界は正しいでしょ!ついてこなきゃダメじゃん!」っていうエネルギーが出てしまっていた。でも、自分たちだけが素晴らしいなんて、ありえないですよね。

ビジョンとミッションのアップデートは3月から始まった。初期の塩田のノートには、英語でさまざまなコンセプトやメッセージ、キーワードがびっしりと書き込まれていた。それを幾度も書き直したり、人に話したり、あえて少し時間を置いて、また見つめたりと5ヶ月を経て完成した

—  自分を無条件で受け入れてこそ、他人を好きになれる

実は、今日の合宿のワーク(※2)でも自分の感情に向き合う中で、小川(アカツキCFO)に「もっと自分を大事にしろよ!」って怒りをぶつけてしまったんです。
※2 2018夏合宿では「自分の感情に向き合うワーク」を実施。そのワークの後での講演でした。

メンバーに指摘されて気がついたのですが、その怒りは、過去の自分を彼に投影してしまっていたからなんですよね。僕は社長だから周囲の期待に応え続けないといけない、という苦しみの中にいた過去の体験から、当時の辛さを現在の彼に投影して怒りをぶつけてしまった。

でも、そのことに気づいて、彼にも自分にも優しくしようと思いました。自分の中の過去の怒りにふれて、とても嫌な気持ちにはなりましたが、そのおかげで自分の中に深く潜って、苦い経験とも繋がれたように感じます。

これからもいろんな辛いことが起こるでしょう。僕自身もまだまだ自分の心と深くまで繋がれているとは思えません。僕には、ある条件を付けたうえで自分を愛そうとする癖があるのですが、そのままではどんなことでも条件付きにしてしまう。だから条件がなくとも自分を認められれば、他人のことも好きになれると思うのです。

塩田の話を聴きながら、メンバーは目を閉じたり、紙の上の言葉に目を落としたりしつつ、新しいビジョン・ミッションに向き合う

—  「人とのつながり」と「自分らしさ」はどちらが先か?

“ つながりの中で、自分らしく生きる時、世界は大きく輝き出す。 ”

僕は多くの起業家や経営者たちと話す機会があるけれど。本気でやっている人ってすぐに分かるんですよね。

心の底から自分のやりたいことが分かっている人は、尋常じゃない熱量の喋り方になっているんです。そういう人はついこちらも応援したくなってしまいます。応援される人というのは、自分のやりたいことを信じて、その価値観を世界に広げて貢献する人だと、僕は考えています。

だから、「自分らしく生きる」という言葉をビジョンにも取り入れました。

もう一つ大切なのは、「つながりの中で、自分らしく生きる時、世界は大きく動き出す」という思い。最初は、「自分らしさ」と「つながり」の両輪を回すという意味のことを書いたのですが、よく考えると「つながりのない状態で自分らしさがわかることはないんじゃないか」と気づいたんです。

本当の自分らしさって、つながりの土台の上でこそ輝くものなんじゃないでしょうか。土台があれば、人は安心します。安心すると、いろんなことにチャレンジを始めます。

たとえば、お母さんの膝の上で抱かれた赤ちゃんは安心して周囲に好奇心を向けられますが、お母さんの膝から離れた赤ちゃんは不安でいっぱいになり、周囲への好奇心どころではなくなってしまいます。これと同じで、人は人とつながっている安心感の中で、自分らしくチャレンジすることができるのだと想います。

夏合宿には約200名近くのアカツキの社員が集まった。アカツキでは年2回「緊急ではないが重要なこと」を行うため、オフィスから離れた場所に集合。さまざまなワークや分かち合いを行なっている

企業が進化する過程で、ビジョンを脱皮させる重要性

—  創業からの想いは今でもずっと、変わらない

2010年、小さなマンションの一室でアカツキがこの世に生まれたときから、僕らの想いはずっと続いていてきています。お金やモノには限りがありますが、感情や感動はいくらでも動くので、無限大です。だから奪い合いも発生せずに、みんなを幸せにできる。

アカツキはここ数年でメンバーが急激に増えました。昔からアカツキにいてくれるメンバーの中には、これまで大事にしてきた「感情報酬」という言葉に愛着がある人もいると思いますが、これまでのビジョンと新しいビジョンに書いてあることは、根本的には大きくは変わっていないのです。

これまでの「感情報酬」というビジョンも、すっと口に出たり自分のものにできるまで、時間がかかってきたはずです。ですから、新しいビジョンとミッションは今日がスタートで、これからの毎日、「A Heart Driven World.」「Make The World Colorful.」と向き合いながら言葉とともに成長していく、そのプロセスがとても大事なんじゃないかと思います。

アカツキの哲学「Akatsuki Heart」アカツキで使う言葉をまとめた「アカツキのコトノハ」にもビジョンが語られている

—  アカツキと社会の境界線は、あいまいな方がいい

“ 青臭いという人もいるかもしれません。 でも、こんな世界を夢見ているのは、私たちだけじゃないはずです。”

新たなビジョンとミッションを考えているとき、ジョン・レノンの「イマジン」をBGMで聴いていたんです。「イマジン」の中の歌詞と僕の想いがシンクロして、「君たちも一緒にどうかな?」っていう呼びかけるような気持ちになっていったんです。

僕と香田はそもそも、アカツキという会社は、企業の内側と外側の境界があいまいな方がいいと思っています。アカツキの想いに共感してくれる、企業や人が増えていって、一緒に「A Heart Driven World」に向かって歩んでいきたい。

—  人生とは、自分の存在を輝かせるための旅

“ 心の声に正直に生きよう。 ” 

久しぶりに帰省した島根から東京に戻る飛行機の中で、「ティール組織」という本を読んでいたときに、アカツキが言ってきたことと同じことが書いてあってびっくりしたんです。

中には、「人類の意識の進化と人類そのものの進化は完全に連動しているものである」という話がありました。戦争で人と殺し合うような組織から、もう少し未来が見える組織へと移り変わり、人とつながりあう家族的な会社へと進化していく。その次の段階の組織に向かうためには、そこに所属する人たちの意識を変革することが大事だと。

また、人生の中で本当の自分をリアルに捉えていることが大事で、何かがあったときは、外側に呼びかけるのではなく、自分の心に耳を傾ける組織になる。そんなことが書いてあって、アカツキの新しいビジョンと、ものすごくシンクロしたんですよね。

アカツキが世の中を照らすということは、自分たちの新しいやり方を見せること。それが周囲に影響を与えて、アカツキだけでなく世界を進化させることになると確信したんです。

ビジョンとミッションを考えている最中、まるで自分の考えていることが伝わっていくかのように、自分の考えやイメージにピタッと合う人や言葉に出会うことが多かった、と語る

アカツキにとってエンターテインメントとは何か?

—  Colorfulという言葉をアカツキの中心に置く

これから残り時間で、ミッションの方にもふれていきます。

ミッションは、「Make The World Colorful」です。Colorfulという言葉をアカツキの中心に置きたいと考えました。カラフルなロゴもアカツキの意志を表現しているものです。「いろんな色があっていい。他の色を否定するのは面白くない」という意味合いもあります。

“Make The World Colorful. 世界をカラフルに輝かせよう。 ”

まず、「世界をカラフルに輝かせよう」ですが、このフレーズを出した時、誰かから「塩田さんは、世界がモノトーンに見えているのですか?」と聞かれてしまいました。もちろん、現在を否定しているという意味ではなくて、より素晴らしい色に変えていくという意味を込めています。

“ 私たちにとって、エンターテインメントとは、心が動く素晴らしい体験のことです。 ”

自分たちの事業とは何かを語るのって、とても難しいと思うのですが、ここではエンターテインメントという表現を使っています。人によっては定義が揺らぎがちで、音楽は当てはまるけどスポーツは当てはまらない、というようなことがよく起こります。

自分たちなりのエンターテインメントの形とは、受け取った人が「心から素晴らしい」と感じたものと定義しています。僕たちはエンターテインメントには大きな力があると信じている。エンターテインメントの形として最も素晴らしいのは、世界が変わって見えることだろうと考えています。

どういうことかといえば、「それに出会ったことによって自分自身の内側が変わる」ということなんですね。たとえば、ディズニーの映画を観た後では、隣にいる人のことがより好きになっているかもしれない。それは自分の心の中の何かが変わって進化したということです。

人の心を動かして進化させていくと表現しましたが、一時の娯楽を超えた何かを持たせるのが、僕らの仕事でしょう。世の中をカラフルに変えていきたいのであれば、自分自身も変えていこうと。そうした姿勢が人の心を打つのだと思います。

 

“ 事業だけではなく、私たちの姿を通しても、世界に影響を与えていきたい。 ”

自分たちのあり方を見せることで、人を感動させさせられることもあります。

先ほどの動画で女性が歌っていましたが(※3)、あの姿に感動するのはまさしくそういうことでしょう。シンプルに自分たちの姿勢を見せることで、世界を輝かせることができると思っています。その輝きは、僕ら自身の光る姿でもあるし、一人ひとりが集まったチームの光でもあるでしょう。
※3  合宿のワークショップのプロセスで映画『グレイテスト・ショーマン』のYoutubeを観ました。

新しいビジョンとミッション。共に歩む旅へ

アカツキの新しいビジョンとミッションがどうやって作られたか、どんな想いがこめられているか、みんなと共有してきた時間ですが、今日のこの時間も僕らが目指す「A Heart Driven World」への旅の大切な一歩。

僕はこのスピーチを通して、改めて新ビジョンとミッションと、アカツキという会社の存在のつながりを強く感じました。

すべての旅がつながっていることを、すべての人たちに感謝します。

ありがとうございます。

アカツキ代表取締役 CEO 塩田 元規


このレポートは、2018年7月20日に実施された、アカツの夏合宿でのスピーチを元に記事化したものです。