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赤白に染まる広場を激走!サン・フェルミン「牛追い祭り」

2018.09.10

今回で第5弾となる「LIVE ENTERTAINMENT JOURNEY」。
今、僕らが来ているのはスペインのパンプローナという街です。

ここパンプローナは、ヘミングウェイの『日はまた昇る』の舞台にもなった、闘牛で有名な場所。そんな街で開催される今回の祭りの名前は、「サン・フェルミン祭 」。そう、別名「牛追い祭り」です。

多分、日本のテレビのバラエティ番組で紹介されてきた「牛追い祭り」とは違う、かなりリアルで迫力ある僕たちの「牛追い祭り」の映像をまずは観てほしい。

コルドさん宅に宿泊決定!

「サン・フェルミン」の時期、パンプローナのホテルは最低2万円からと高騰します。なので、最悪野宿を覚悟していた僕たちに奇跡的な出会いが訪れました。

開会式場であるパンプローナ市役所前でタイムラプスをとっていた時、「日本人ですか?」という声が。日本に1年間留学経験のあるというスペイン人のコルドさんが声をかけてくれたんです。

「何日間か泊めさせていただけませんか?」と頼んでみると、「It’s OK!」。なんとお祭り期間の4日間、泊めさせていただけることになったんです。

今回の世界一周で外国人のお家に泊まらせていただくのは初めて。なんかドキドキワクワク。旅中のすてきなご縁に本当に本当に感謝です。

コルドさん家。ものすごく広い!!!

開会式で熱狂するパンプローナ

7月6日正午、パンプローナ市役所の前で「サン・フェルミン」の開会式が始まります。開始1時間前からすでにお祭りムード。

市役所周辺には警察官が配置され、開会式への持ち物のチェックを行っていました。公式で許可されているのか、みんなフタを開けているサングリアを持ち込んでいます。

開会式が行われる広場は、熱狂する人たちでぎゅうぎゅう詰め!みな、「サン・フェルミン」 の伝統的な衣装である白服に赤スカーフを身につけていて、開会式の広場は白と赤の二色で染まっていました。

伝統的なサン・フェルミンの衣装である白と赤を身につける

 

人々の中に埋もれながら待っていると、「パーーーーーーーーン!」という花火の音とともに紙吹雪が舞い上がりました。

ビールかけのようにサングリアかけが始まり、大歓声に包まれます。会場を囲む住人たちは2階、3階から水をかけ、参加者の白のTシャツは赤く染まっていきます。

髪はベトベト、服はワイン臭いし、目は痛い!
正直、とても快適とは言えない状況だけど、「サン・フェルミン」に熱狂する群衆から、ものすごいエネルギーを感じたんです。

スマホを僕のシャツで拭かれたり、もうなんでもあり

 

「なんでもありだな、ここは」という印象を覚えたサン・フェルミン開会式。

さすが情熱の国スペイン。初めて味わった熱狂です。
これが9日間のお祭りの幕開け。

実は牛追いだけじゃない⁈

日本では「牛追い祭り」として有名な「サン・フェルミン」。でも、「牛追い」自体は、サン・フェルミンの中の「エンシエロ」というお祭りの1つの行程なのだそう。この街の守護聖人であるフェルミンを讃える儀式と、闘牛で有名なこの街の牛追いが合体して、今のような祭りになったようです。

そのようなわけで、牛追いだけではなくて、巨大な人形が街の中でパレードをしていたり、マーチが行われていたり、パンプローナの街中どこもかしこも盛り上がっています。

お祭り期間中毎日、夜の11時に花火が打ち上げられます。

毎日って、すごくないですか?

まさかスペインで花火が見られるなんて思いなかった僕らは大興奮。ヨーロッパ各国から有名な花火師が集まるそうで、日本に引けを取らないクオリティの花火が毎日上がっていました。

パンプローナの家の屋根越しにみる花火は見事だった。

牛追いならぬ、牛追われ祭り⁈

お祭り男である僕らにとって、もちろんメインは「エンシエロ」と呼ばれる牛追いへの参加!

毎朝8時のロケット花火の音と共に、牛が放たれ、牛追いが行われます。参加者は朝の7時ごろから、牛追いが行われるルートに入場しなければいけません。

牛追いが行われるルートは825m。そのため、スタートの打ち上げ花火からおよそ3分で「エンシエロ」は終わってしまいます。走り終えるまで約3分で、観客が牛追いを目視できるのは10秒未満。たった10秒未満の牛追いのために、世界から人々が集まってくるんです。

牛追いは度胸試しの祭り。開催のパンプローナ市も「牛追いは、市民の若者がその生命を危険にさらすことにより、勇気を証明することである」と発表しています。

だから、どれだけ牛のすぐ前を走れるかが大事。牛追いというか、確実にこれはもう「牛追われ」です(笑)。

しかし、当然ながら牛の目の前を走ることは、牛の角に刺されてしまうリスクが高まるのです。現に、今までに約20人近く死者が出ているとのこと。その本気度合い、熱狂が僕の気分を高揚させます。

死をも恐れない熱狂が僕の気分を高揚させる。「気張っていこう!わっしょい!!」

 

僕はテレビでよく見る「エスタフェタ通り」でスタンバイすることに。

ここは参加者も多く、参加者同士が押し合いっこになるため、危険なゾーン。

しかし、目立つところで走りたかった。

エスタフェタ通り

 

スタンバイして間もなく、スタートのロケット花火の音が聞こえた。

牛が放たれたのだ!!!!

人が多すぎるため、牛が来ているのかどうかすらわからない。

みんなジャンプしながら状況を確認。少し経つとみんなが一斉にこちら側に走ってくる!

僕も流れに乗って奥に少しずつ足をかく!

最初はゆっくりだった走りがどんどん早くなっていく。間違いなく牛が迫っている!

目の前では人同士がぶつかり、転倒している人も!
遂に牛が登場だ!最初の牛は見送り、2陣目の牛の前を狙う!

「今だ!」

心の中で自分に呼びかけ牛の前に体を差し出す!

その時間わずか2秒。しかし、今にも角で刺されそうな位置で牛追いをすることができた!

映像にも残っているけれど、あまりの怖さに声が出なかったほど。考える間もなく、牛とともに闘牛場まで走り抜けた!

牛に追われた勇者にだけ許される戦い

「Woooooooo!」

そこには闘牛場を埋め尽くす一万人を超える観客が!360度見渡す限り熱気に包まれている。

牛追いを走り終えた参加者への大拍手と歓声が聞こえた。

ここでは、放たれた最後の牛よりも先に闘牛場に入ることによって、素人闘牛に参加することができます。つまり、サン・フェルミン祭の闘牛は勇気を出した者のみが味わえる体験ということです。

本当の闘牛であれば、人と牛は1対1だけど、素人闘牛は100人に対して牛が1頭。何か味方がいて心強い気もするけど、人にぶつかるわ、牛も予測不能な動きするわでなかなかの恐怖だ。

牛追いは「追われる」ことになるけれど、素人闘牛は真っ正面からの勝負。
牛追いとは違う怖さが待っていました。

「早めに勝負や!」と牛に急接近。
しかし、目の前に牛がいると何をしていいかわからない。
ならばと、牛の上に乗っかる作戦を決行しました。

今思い出しても、あの時の自分がどう戦いたかったのかわかりません(笑)。

中央で消える僕(KENSHI)。逆さまになってオレンジの靴だけが映っている

 

案の定、牛の角にかちあげられ、振り落とされてしまった!!!!

でも、なんとか無事生きてました!

周りの人たちにも
「よく行ったなー!」「大丈夫かー!?」
と肩を叩かれました。

その勇気の代償に、僕の足は牛の角で突かれるハメに。初めて見る、黒い血。一瞬すぎて自分に何が起こったのか、わからなかった。

この「LIVE ENTERTAINMENT JOURNEY」で、今までで一番怖かった瞬間でしたが、牛と戦った自分が「お祭り男」として少し誇らしくもありました。

右足から黒い血を流し、牛と戦った証を残して来た

他の参加者も牛にタッチにジャンプ。みんなそれぞれの形で素人闘牛に挑戦

闘牛場はまるでサーカス

熱狂的な開会式から始まり、牛に追われ、牛と戦った「サン・フェルミン」。

死者や怪我人が出ている危険な祭りですが、闘牛場ではPOPな音楽が流れ、観客たち笑顔。闘牛場はまるでサーカスが行われているかのようでした。

実際に参加してみて、「恐怖」だけの感情とは違い、何か清々しい「解放感」も味わえました。日本ではありえない祭りの雰囲気が、海外にいることを強く再認識させてくれました。

それから、年配の方々の参加者もものすごく多いのが印象的でした。お酒を片手にパレードに参加していたり、町中で踊っていたり。日本にも、こんなに元気なおじいちゃんおばあちゃんっていたかな?と思わせられるくらい元気でした。

 

日本で多く知られる「牛追い」だけじゃない、パレードや素人闘牛、花火、たくさんのエンターテイメント要素を持ったこの祭りを味わえた。
全ての要素をひっくるめて、「サン・フェルミン祭」が形成されていることを知りました。

この世界一周の旅の中で「熱狂」具合は間違いなく1番だった!
牛に刺された思い出は絶対に忘れることはないだろう(笑)。
情熱の国、スペイン!最高の熱狂をありがとう!

ぜひ牛と戦ってみたいという人は、「サン・フェルミン」に参加してみてください!

次の祭りはベルギーの「Tommorowland」!世界最大級のEDMフェスに行って来ます!
ぜひお楽しみに!