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プロジェクトマネジメント部部長が語る、プロジェクトを成功に導くPMの在り方

2023.10.13

Akatsuki Games Creator’s interview」では、アカツキゲームスのめざす「日本最高峰の開発力と運営力で日本発グローバルヒットを生み出す」ための日々の取り組みや考え、今後の展望を、各プロジェクトで働くプロフェッショナルにインタビューする連載です。今回は、プロジェクトマネジメント部部長の加藤さんに、ゲーム開発におけるプロジェクトマネジメントの難しさと面白さについてインタビューしました。

加藤 周 Amane Kato株式会社アカツキゲームス プロジェクトマネジメント部 部長

2015年4月に株式会社コロプラに入社、複数タイトルでPMを担う。2020年よりアカツキにて運用タイトルを経験後、新規開発プロジェクトに合流し、リードPMを務める。それらの経験を活かし、プロジェクトマネジメント部を立ち上げ、部長を務める。PMP(米国PMI認定Project Management Professional)有資格者。

自ら手を上げてPM部の立ち上げを実行 クリエイターが力を発揮できる環境づくり

—まず簡単にこれまでの経歴を教えてください。

加藤 アカツキゲームスのプロジェクトマネジメント部(以下PM部)で部長を務めています加藤です。今は新規開発プロジェクトのリードPMも兼任しております。趣味は将棋です。ゲーム会社にエンジニアとして新卒入社して、しばらくはクライアントエンジニアをやっていました。その後、ディレクターやPMを経験し、一通り学んだ後、3年前にプランナーとしてアカツキ(現アカツキゲームス)に転職しました。

—これまでキャリアチェンジしながら現在に至るように思いますが、何か理由はあるのでしょうか?

加藤 もともとエンジニアではなくプランナー志望でしたが、新卒で入りたかった会社がプランナー採用を行っていなかったんです。そのため、エンジニアとして入社しました。プロジェクトを立ち上げる機会に恵まれてPMになりましたが、その際に大きな失敗をしてしまいました。(前職の)上司から「プロジェクトマネジメントのプの字もない」と呆れられました。当時はとても悔しく、それからはゲームの知見だけではなくプロジェクトマネジメントについての専門知識も深く学んだので、その経験が今に繋がっていると思っています。

—アカツキへの入社後は、どのような業務を担当されましたか?

加藤 PM部の設立以前はプランナーとして、まず運営タイトルのプロジェクトでガチャ設計やKPI分析などの経験しました。その後、新規開発プロジェクトに異動しましたが、その時の状況はなかなか厳しかったですね。プランナーとしてバリューを出していこうにも、プロジェクトの目標設定やスコープの管理、コミュニケーションの設計など多くの部分が曖昧で、クリエイターが力を発揮できる環境ではないと感じました。その時にプロジェクトリーダーにPMを任せてほしいと進言して、プロジェクトの立て直しに取り組みました。

—クリエイターが力を発揮できない環境とは、どんな状況ですか?

加藤 このプロジェクトが目指しているところや成功の定義など、プロジェクトの根幹がふんわりしていて、企画や方向性が二転三転していました。そのため、スコープが定まらずあれもこれもと無限に膨らんでいきます。ゲームを作り込むための土壌が整っていませんでした。

—そうしたなかでPMに名乗り出られて、PMとして最初に手をつけようとしたこと、進めてこられたことを教えてください。

加藤 プロジェクトというよりチームとして本当に基本的なことですが、名簿や体制図の整理から始めました。当時はコロナ禍でフルリモートでの開発、かつ中途入社のメンバーが多かったため、誰が何を担当しているのかすら把握しにくい状況だったんです。次にプロジェクトの成功条件を改めて明らかにし、それを元にスコープの定義、予算やスケジュールの組み直しを適宜進めていきました。

—まさにプロジェクト計画ですね。その後、PM部の立ち上げをされていますが、これはなぜですか?

加藤 理由は大きく2つあります。1つは同じ失敗を繰り返さないために、ゲーム開発におけるプロジェクトマネジメントのナレッジを蓄積する場所が欲しかったことです。もう1つはPMとして走り始めたときに、孤独だと感じたからです。当時はPMとしての役割を持っている人が各プロジェクトにいるのにも関わらず、PM同士の横の繋がりを作るきっかけや組織としてのバックアップがなく、大変な仕事だと感じました。なので、横の繋がりや学習支援といった部分をしっかりとサポートし、PMが少しでもプロジェクトの成功確率を上げられるような組織を作りたいという思いが強くありました。

学術的知見を積極的に取り入れ、ゲーム業界が抱える課題の打破を目指す

—ゲーム業界はプロジェクトマネジメントが本当に難しいと聞きますが、何がその要因となるのでしょうか。

加藤 そうですね、ゲーム開発はよく遅延するというイメージがあると思います。それは紛れもない事実ですが、プロジェクトマネジメント自体は成立するんです。プロジェクトマネージャーが責任を持つのは、スケジュールに限らず、プロジェクト全体の失敗や成功です。例えばスケジュールを3ヶ月遅らせて品質を上げるという判断をした場合に、それがユーザーの満足度や売上につながり、結果的にプロジェクトの成功条件を満たしたのであればそれはいい判断、いいマネジメントができたと言えます。

ゲームには非常に重要な要素として「面白さ」という尺度がありますが、面白さは人それぞれで正解がないから、本当にこれでいいのかと悩みながら進めることになりますよね。そのため多くのプロジェクトは試行錯誤を繰り返して遅れていくか、スケジュールやコスト優先で品質を妥協して世に出すかの2択になると思います。これがゲーム開発をコントロールする難しさの要因の1つです。

それから、プロジェクトの成否が売上、ユーザー数など、リリース後にわかることが多いので、PMはスケジュールだけを達成していればいいわけではありません。仮にスケジュール通りであっても、例えば売上を達成できなければ、それはプロジェクトの失敗となり、仕事ができたとは言えません。かといって面白さが足りないゲームを何ヶ月遅延させて品質向上させればリクープラインと釣り合うのかということはかなり予想しづらくて難しいところです。数ヶ月追加でやってもそれが正解かはわからないし、機能実装を追加したとしてもそれがユーザーに望まれたものなのかは出してみないと正直わかりません。ゲームの面白さはディレクター、予算についてはプロデューサーと協力して判断していきますが、PMはスケジュール管理者ではなくプロジェクトを成功させる人です。成功に向けて調整が必要な変数の多さや曖昧さは難しさである半面、PMの醍醐味だと思いますね。

—アカツキゲームスでPM部を立ち上げ、組織として取り組んでいくなかで、加藤さんがリーダーとして大切にしていることや使命としていることを教えてください。

加藤 PM部の共通指針として掲げるミッションとバリューを大事にして取り組んでいます。ミッションは、「ゲーム開発の“強くてニューゲーム”を実現する」。1つのプロジェクトを通して得られた知識や経験を言語化し、しっかり組織としてレベルアップした状態で次のプロジェクトを始めることで、同じような問題が業界のあちこちで繰り返し発生している状況を打ち崩したいと思っています。バリューは「プロジェクトマネジメントのプロであること」と定義しています。これはアカツキゲームスのPMに大事にしてほしい価値観です。勘や経験、度胸が大事な場面ももちろんありますが、プロジェクトマネジメントにはこれまで何十年もかけてしっかりと体系化されてきた歴史があります。そういった学術的な部分もちゃんと学んで、柔軟に開発に活用できるプロフェッショナルでありたいです。

—同じ問題がどのプロジェクトでも起こってしまうのはなぜなんでしょうか?

加藤 一概には言えないですが、「ゲーム開発は難しいから」で済まされてしまっている側面はあると思います。そういった気持ちの甘えが下準備や計画の不十分さや、各社でPMと呼ばれている人たちですら専門知識を学んでないことがあるような状況を許容している気がします。あとは会社が大きくなると、個人間や部署間で良くも悪くも競争環境に発展し、情報を出し惜しむような場合もあります。アカツキゲームスはそういう環境にせず、各プロジェクトが横串でしっかりと繋がり、失敗も成功も包み隠さず共有して組織全体で成長していきたいですね。

—アカツキゲームスのPMならではの特徴はありますか?

加藤 先ほどお話ししたプロジェクトマネジメントの学術的知見をしっかり取り込んでいくというのは、アカツキゲームスの特色として挙げられると思います。やっぱり現場の経験、そこで磨いてきた勘みたいなものがまだまだ重視される傾向は高いと感じます。

PMの知識は世界的にかなり体系化されていて、PMBOKと呼ばれるバイブル的な本が存在します。そこには世界中の先人たちの実践や知恵が詰まっているので、まずはその知識を一通り吸収することがスタートライン。その知識に加えて、ゲーム開発知識やチームの雰囲気なども加味してプロジェクトに合った形に方法論を落とし込んで問題解決していくのがPMの主な取り組みになります。個人の経験だけに頼るのにはやっぱり限界があって、カバーできない範囲の問題が絶対に起こります。そこに対して、しっかりと学術的な背景も含めて基盤を固めていきたいわけです。アカツキゲームスではこれからPMの育成に力を入れていくので、PMの成長の再現性を高める意味でもそういった部分を大切にしています。

—よく「本に書いてあるけどうまくいかないんだよね」と言う声も聞くと思いますが、実際のところはどうなんでしょうか?

加藤 書いてあることがそのまま当てはまるシーンはあまりないので、やっぱりプロジェクトに合わせてここはちょっと変えて取り入れる、みたいな柔軟性が必要になりますね。ゲーム開発が特殊で一般的な方法論が役に立たないと言う人もいますが、体系化されたプロジェクトマネジメントの知識は先端技術の粋であるロケット開発や、普段何気なく利用しているITや建築など様々な分野で活用されています。それがただゲームにだけは使えないということは決してないでしょう。

大型チームによる大規模新規開発に耐えうるプロジェクトマネジメントを確立したい

—ビジョンやミッションの実現に向けて、PM部としての具体的な取り組みがあればお聞かせください。

加藤 アカツキゲームスには200人を超える大規模なプロジェクトが複数ありますが、そこには大体5人から10人のPMがいて、PMチームを組んでいます。ただ同じプロジェクト内であっても、同じスケジュールを2人のPMで管理したり、1つのミーティングを2人のPMがファシリテーションするということはないので、基本的にPMは個人戦です。それでもPMをチームとし、リーダーを立てることで、PM同士が密に情報を共有したり、育成面でも相談などがしやすい環境にしています。

例えば、僕が所属するプロジェクトのPMチームはどんな些細なことでも共有できるSlack channelを用意していて、何かあれば常にそこに情報が流れる環境にしていますね。「○○さんと○○さんって同じ高校だったらしいですよ」みたいな、そんな雑談レベルのことでもコミュニケーションに役立つ可能性がある情報は全て共有するようにしています。

—プロジェクトを超えた動きとしては何か取り組まれていますか?

加藤 横串でナレッジがたまるようにしていきたくて、基本的なところですがConfluenceの整備から始めています。#pm-shareというPM全員が繋がっているSlack channelがあり、その場で出た質問や共有されたことをコンフルに蓄積していっています。今後はPMの社内LT会などを設計していく予定です。

それから少し特殊な制度として、「初顔合わせキャンペーン」という取り組みを実施しています。まだ発足して1年ちょっとぐらいの組織なので、他のプロジェクトのPMの人とは面識がないという人もいます。横の繋がり促進として、初交流のメンバーを含む食事会の費用をPM部で補助しています。AさんとBさんが初交流であればその場に一緒にいる他のPMの食事代も補助するから、ぜひ自チームのPMを他チームのPMに紹介してください、という趣旨ですね。

—その他に何か特別な制度や勉強会はありますか?

加藤 PMチームで輪読会を行っているプロジェクトもあります。学習支援に関しては全社的に充実していて、資格取得のための費用負担や書籍購入補助があります。書籍購入補助制度は業務に関連する書籍を会社負担で購入できる制度なのですが、PM部は特性上、かなり幅広いジャンルの書籍を費用負担の範囲として承認しています。プロジェクトマネジメントの知見はもちろん、デザインやエンジニアリング、経営や法務など、PMには様々な知識が必要だと考えています。

—今後PM部としてチャレンジしていきたいことはありますか。

加藤 会社の方針として、今後は大規模なチームで大型の新規開発に舵を切っていくことが決まっているので、大きな予算やチームを正しくコントロールして、クリエイターの成果に繋げる方法を研究していかなければいけないと思っています。

大型のプロジェクト開発のノウハウをPMの知識体系から吸収して、ゲーム開発に当てはめて試行錯誤していくしかないですね。今のチームだと、プロト、アルファ、ベータなど、開発フェーズによって大胆に手法を変えながら、最適解を探っています。アカツキゲームスのメンバーはそういった前向きな改善を歓迎してくれるので、PMとしては動きやすく恵まれた環境にあると思っています。

大規模開発は本当に限られたところでしかできない体験ですし、あわせてPMの支援や育成環境も整えていっています。百戦錬磨の方ではなくても、チームで何か大きなことを達成したいという強い熱量のある方に興味を持ってもらえたら嬉しいですね。

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