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日本のeスポーツを変える!アカツキの実業団チーム「UNITE」

2020.08.06

8月6日、アカツキのeスポーツチーム「Team UNITE」が始動しました。世界で急速に伸長するeスポーツ市場ですが、日本ではeスポーツ選手がeスポーツだけで生計を立てるのは難しいのが現状です。「Team UNITE」が目指す、選手とゲーム業界をWin-Winでつなぐ実業団について話を聞きました。

Team UNITE オーナー 渡辺 佑太郎

2015年にゲーム業界未経験でアカツキに入社。CAPSチーム(「顧客とプロダクトの満足度最大化」させるチーム)にて、IPタイトルの運営や新規ゲームタイトルの立ち上げ等に従事。自身もeスポーツプレイヤーとして世界大会などに出場していた経験を活かし、2020年より「Team UNITE」のチームオーナー・事業責任者も務める。

Team UNITE所属選手 森山 真秀

島根県出身、27歳。学生時代は兵庫県で過ごし、デュエルマスターズをプレイしていた。3年半前からマジック: ザ・ギャザリングにハマり、いまでは世界一の称号を獲得することが目標。また、チームでの活動を通じてe-スポーツやカードゲームの魅力を発信していきたい! 戦績:2018 日本選手権 優勝、MAGICワールドカップ2018 Top8

Team UNITE所属選手 井上 徹

福岡県出身、31歳。小学生の頃マジック: ザ・ギャザリングと出会い、これまで15年以上のプレイ歴。20代後半からは仕事とプロプレイヤーを両立させながら世界中を飛び回る。仕事と競技、どちらでも成果残せるように頑張りたい! 戦績:グランプリ メンフィス 2019 TOP8 、グランプリ メキシコシティ2017 TOP4、グランプリ 北京 2016 TOP8

日本のゲーマーを「憧れの存在」にしたい

渡辺 eスポーツ市場は、年々拡大しています。アメリカ、ヨーロッパ、中国など海外では、世界的に人気のあるゲームタイトルで、高額の賞金をかけた世界大会が多数開催されている状況です。日本eスポーツ市場は2019年には約76億円の規模と言われていています。

しかし、日本のゲーム市場には課題もあります。法的観点から、国内では高額賞金の設定が難しいとの見方がなされていること。また、海外での大会が主となると、日本からの参加は時差もあり、ネット上の対戦環境が良いとは言えないところがあります。

さらに、ゲーマーに対するイメージが未だに低いことも課題です。私自身がゲーマーでありeスポーツのプレイヤーでもありますが、海外に遠征した際、ゲーマーが他のスポーツ選手やアイドルのように「かっこいい存在」として憧れの対象となっている様子を目の当たりにしました。日本でも、ゲーマーを「憧れられる存在」にしたい。そのために、eスポーツ界で活躍するプレイヤーへの支援を通じて、ゲーム業界全体に貢献できないだろうか。そうした考えから、アカツキ内にeスポーツのプロチームを発足し、これまでプロとして専念できなかった選手を育成し、活躍できる場をつくることを決意しました。

2019年10月に構想を考え、11月には、アカツキの社員にもプレイヤーが多い、世界的なトレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」の名古屋大会に足を運びました。そして、大会に出場して活躍していた井上徹・森山真秀の両選手に「eスポーツのプロチームをつくりたいから、ぜひ仲間に加わってくれないか」と声をかけました。

——井上さん・森山さんは当時、会社員をしながらeスポーツ活動をしていたと伺いました。お二人は、eスポーツの課題と可能性をどのように考えていましたか。

井上 私はシステムエンジニアとして仕事をする傍ら、eスポーツに取り組んでいました。日本のeスポーツ界の実情は、プロ一本で活動するのがなかなか難しいです。海外遠征が必須で、学生なら金銭面の負担も大きい。社会人であれば休みを取るのも大変です。

一方で、ゲームは、他のスポーツとは違って、身体を鍛えたり、特別な設備や広いスペースといった練習環境を整えたりする必要がありません。誰でも、自宅でスマホひとつあれば、すぐに始めることができるという利点があり、間口が広いスポーツです。

森山 私も銀行員として働きながら、大会などに出場していました。国内では、ゲームに関するイベントの客層も、20〜30代の男性に偏りがちな傾向があり、プレイヤーに対するイメージも、海外と比べると「オタク」のイメージが強いと思います。また、セカンドキャリアの課題もありました。他のスポーツ選手に比べて「eスポーツのプロ選手」は、引退後、次のキャリアを描きにくいのが実情です。

しかし今後は、やる方も見る方も、もっと広がりを見せていくのではと期待しています。年齢や性別、体格の垣根を超えるだけでなく、たとえば身体的な障がいがある人でも、区別なく大会で活躍できるのがeスポーツです。オンラインにおける大会の開催・観戦がしやすいのも、強みだと思っています。

渡辺 プロ化を阻む課題を解消しつつ、二人のようなプレイヤーが選手として活躍し続けるには、実業団のような形で、企業に所属する体制を取ることが必要だと思いました。そのためには、会社にとっても、ゲーム業界にとっても、チーム化することで価値を創出する仕組みが必要。それが「Team UNITE」の目指す“eスポーツチームのエコシステム化”です。

ゲームのプロの力を、ゲーム開発に活かす

渡辺 「Team UNITE」に所属する選手には、eスポーツ活動をしつつ、「ゲームバランサー」としてアカツキ内でのゲーム開発や品質向上に貢献してもらっています。引退後も、プロ選手としての経験を活かして、アカツキでのキャリアを歩めるように支援していく。アカツキのゲーム開発側にとっては、ゲームのプロから良質なフィードバックがもらえれば、さらに面白いゲームをつくることができる。選手にとっては、雇用によって収入や練習環境が安定することに加え、引退後のキャリアの選択肢も広がる。

選手とゲーム業界のWin-Winな関係を構築することで、日本のeスポーツ市場全体を盛り上げていくという仕組みです。

——ゲームバランサーとは?

渡辺 アカツキの中には、「顧客とプロダクトの満足度最大化」をミッションに、顧客視点でゲームの検証・品質向上やカスタマーサポートを行う「CAPS(Customer And Product Satisfaction:キャップス)」という部署があります。メンバーの8割がゲーム業界未経験者で構成される部署で、ゲームがワクワクできるものになっているか、レベル感などのバランスは良いか、プレイヤー視点で開発側に伝える役割を担っています。

二人も、普段の業務では、アカツキが制作するゲームに関して、運営や開発チームへフィードバックをしてくれています。ゲームを熟知しているプロのプレイヤーには、ゲームの「面白い」「つまらない」を言語化できる強みがあります。入社して数カ月ですが、すでに活躍してくれています。

井上 10年近くeスポーツに打ち込んでいるからこそ、ゲームのレベル感・難易度のバランスや、プレイヤーを夢中にさせる構造については、人よりも敏感になっていると思います。ゲーム制作は未経験ですが、プレイヤーとしての経験を業務に活かしていきたいです。

森山 もちろん、普段競技しているタイトルと、アカツキが手がけているタイトルは異なります。しかし、両者の構造を比較することで、アカツキが手がけているタイトルにゲーム体験として不足している点はないかを考え、気づけることはたくさんあります。また、業務を通じて「これは競技にも通じる」と発見するなど、逆に選手として学べる部分もあります。

渡辺 このように、プロプレイヤーを応援することが、アカツキにとっても、ひいてはゲーム業界全体にとってもプラスになる構造をつくる。もっと端的に言えば、「賞金に頼らない、eスポーツ選手のライフサイクルをつくる」ことで、ゲーム業界全体に貢献していくことを目指しています。

ゲームに対する世の中の価値観までも変えていく

渡辺 直近では「マジック:ザ・ギャザリング」を扱いますが、今後は、業界を盛り上げるために、さまざまなジャンルのゲームを取り扱っていきます。扱うタイトルに合わせて、選手を募集する予定です。

——「Team UNITE」はeスポーツ業界において、またゲーム業界において、どんな存在を目指していくのでしょうか。

渡辺 eスポーツにおいて、プロプレイヤーの登竜門のような存在になっていきたいです。未来のeスポーツプレイヤーが誕生していく瞬間、ゲームに関する新たな価値観が生まれていく瞬間を、目の当たりにしたい。また、ゲーム開発に関わる一人として、さまざまなゲーム開発会社が魂を込めて開発したタイトルを盛り上げていく存在になりたいと思っています。

井上 「Team UNITE」を、eスポーツのプロチームのモデルケースにしていきたい。そのためには、自分自身が選手として、またアカツキのCAPSチームの一員として、価値を創出できる存在にならなければと思っています。

森山 「Team UNITE」から、eスポーツの魅力、選手として活動することの魅力を発信し、これまでeスポーツに興味がなかった人からも注目される存在になりたいです。そして将来的には、就職活動をするときの履歴書に、スポーツ経験のある人が「インターハイ出場」と書くように、eスポーツ大会での実績を書けるような未来が訪れるよう、ゲームに対する世の中の価値観を変えていきたいです。

 

Long Ver :https://youtu.be/yMPvVuWodTU
Short Ver:https://youtu.be/SJYHlK5HVnw

参考情報