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海外進出から7年。独自に築き上げたアカツキ台湾のカルチャー

2021.07.30

全3回にわたってお送りする、本シリーズ「アカツキ台湾 これまでとこれから」。第1回目では、アカツキ台湾の設立背景や海外展開拠点を台湾に置いた理由、具体的な役割、強みについてお伝えいたしました。

第2回目となる今回は、アカツキ台湾のスタートアップ期の組織作り、独自に築き上げたカルチャーについて、引き続き元アカツキ台湾CEOの田川 勝也さんにお話を聞きました。

第1回   アカツキ台湾が担う「海外展開」と「多言語カスタマーサポート」の重要性とは

第3回   アカツキ台湾発のオリジナルゲーム『Behind the Frame』。デザイナーが語る、物語への没入のために張り巡らされた工夫

田川 勝也 Katsuya Tagawa曉數碼股份有限公司(アカツキ台湾)元CEO 現アカツキ ゲーム開発ギルドGM

1993年宮崎県出身、2016年にアカツキに入社し、プロジェクトリーダーやディレクターを経験。2018年にアカツキ台湾へ赴任し、2019年からCEOを務める。2021年7月からはアカツキに戻り、ゲーム開発ギルドにおいてGMを務める。趣味はテニス。

アカツキらしい組織を台湾につくる。創立4年目での挑戦

ーアカツキ創立が2010年、アカツキ台湾の設立が2014年と、アカツキが台湾へ進出するタイミングは早かったように感じますが、当時どんな狙いがあったんですか? また、進出先として台湾を選んだ理由は?

田川 アカツキ代表の香田さんが「モバイルゲームは海外での成功が鍵。日本と二人三脚で進む海外拠点をもつには、業務提携ではなく、アカツキそのものを台湾にも作ることが重要だ」と考えていたそうで、現地法人と連携するのではなく独自の組織を台湾に設立することを選んだと聞いています。

台湾を選んだ理由には地理的な条件の良さ、日本語を含めたバイリンガル、トリリンガルの方が多いことなどがありますが、なによりも台湾が日本文化に対する深い理解を持っていることが大きいです。これはIP※1ビジネスを展開していくためには非常に重要なことで、台湾の皆さんから感じる「日本文化を深く理解しているからこその、ゲームタイトルへの尊重」は、業務を進めるうえでとてもスムーズに働く場面が多くあるんです。

1 I P:知的財産。ここではアニメや漫画のタイトル、キャラクターのこと

―そもそも、アカツキ台湾が設立された2014年のモバイルゲーム業界はどんな状況だったのでしょうか?

田川 アカツキ台湾立ち上げ当時の2014年頃は日本の他のモバイルゲーム企業の海外進出も盛んだった時代で、現地企業を買収するなどして各社が販路を広めていた時代でした。

そのような環境の中、当時アカツキCOOだった香田さん(現アカツキCEO)が直接台湾に出向きアカツキの100%子会社を作りました。既存企業との連携するだけではなく、“アカツキの文化を1から作る”という信念のもと、創業者が直接海外に行き、支社を作る事例は珍しかったのではないかな。

おかげさまでアカツキ台湾は今では180名ほどの組織として成長しており、アカツキと共通の哲学・地盤ができているからこそ、アカツキとともに挑戦と成長を繰り返し、ここまでこられたのかなと思います。

2014年、アカツキ台湾設立から半年後のアカツキCEO香田さん(左端)と台湾メンバー集合写真

2014年、アカツキ台湾設立から半年後のアカツキCEO香田(左端)と台湾メンバー集合写真

―アカツキ台湾立ち上げ当初の状況について、どのように聞いていますか?

田川 立ち上げ当初は数人からスタートして、なんでもやってみるトライアンドエラーだったと思います。当時、自分は台湾にはいませんでしたが、まさにスタートアップ、という時代だったかと思いますね。

とにかく、カルチャーフィットを大事にしてメンバーを集めていったと聞いています。メンバー集めの際はCEO香田さん自らさまざまなツテを辿って業界交流会などに参加して、声かけや交流などしていたのでは。

そこから、さまざまなタイトルの海外展開や日本との共同開発を実施し、組織も急拡大しました。海外支社の立ち上げということで通常のスタートアップとはまた違う、組織の急拡大に伴う課題もあったと思います。しかし拡大に応じたバックオフィスメンバーなどの支えもあり、無事拡大できた時期でした。

―CEO香田さんが自ら集めたメンバーで運営していたのですね。

田川 そして2017年に CEO香田さんから私にバトンが渡りました。私がCEOになってからは、メンバーの頑張りをどう価値に結びつけ、その価値をどう社会に広め、組織に還元していくか、という視点を重視した経営になりました。

立ち上げ期と比べ、モバイルゲーム市場の成熟化に伴い、ひとつひとつの意思決定の重みが増しています。アカツキ台湾だからこそ見えているグローバル市場のニーズや手応えを日本のアカツキにフィードバックし、また日本のアカツキの戦略をアカツキ台湾のメンバーにも浸透させて、二隻のボートで大海原を進んでいくイメージです。

―同じアカツキとはいえ、距離が離れている日本と台湾で信頼しながら仕事をしていくのは難しかったのではないですか?

田川 CEO自らが気持ちも時間も注いだ組織だからこそ、物理的な距離はあるものの、互いに信頼し合っているのかなと思います。アカツキ同様に熱量の高いメンバーが集まっているのも、設立当初の想いがあったからだと思います。台湾メンバーはCEO香田さんが本当に大好きですね。私自身も日本のアカツキに新卒で入社し、香田さんやアカツキのメンバーと仕事をしてきた基盤がありますので、台湾に来ても日本との信頼関係は揺るぎなく仕事ができています。

台湾メンバーからオリジナルケーキでお祝いされるCEO香田

アカツキ台湾独自の職場文化とカルチャー

ーアカツキ台湾の今のメンバーはどのような雰囲気ですか? 

田川 現在アカツキ台湾には、約180名のメンバーが在籍しています。日本のアカツキから来たメンバーや現地台湾出身のメンバーのほかにもインド、フランス、韓国などさまざまな出身のメンバーがおり、とても賑やかです。特殊なところですと、“架け橋”のような職務者であるコーディネーターがいます。語学力に長けている方々で、会議での通訳・翻訳のほか、ファシリテーションも行っています。

また、ヨーロッパ、アメリカ、日本など台湾以外の地域で生活・就業経験のあるメンバーも多いため、日本の職場文化とも伝統的な台湾企業とも異なる独自の職場文化・雰囲気が育っています。

―職場文化といえば、アカツキと同じく社内イベントは盛んですか?

田川 アカツキ台湾でも、アカツキと同じように会社のアニバーサリーを祝う「周年祭」、半期に一度“緊急ではないが重要なこと”に向き合う時間としての「全社合宿」を行っています。

6年目のアカツキ台湾周年祭のテーマは「カラーフェスティバル」。アカツキのビジョン「世界をカラフルに輝かせよう」にちなみ、メンバーのカラフルな個性を集めたイベントにしたいとの思いが込められています。

周年祭では田川さんも中国語でステージを披露! 盛り上がりました!

田川 組織が大きく成長してくると、リーダーがメンバーひとりひとりと深く・密にコミュニケーションをとることが難しくなります。だからこそ、「全社合宿」では、組織やプロジェクトのひとりひとりが「リーダー陣が考えている事・めざす方向」をより深く理解できるようフォーラム形式のコンテンツを準備しました。

2020年の合宿のテーマは「再生」を意味する「RENAISSANCE」。新型コロナウイルスの影響で大変な時期でも「不死鳥のように生まれ変わり、どんな困難でも乗り越えていきたい」という願いが込められています。

フォーラムでは「ストレスを生かした能力の引き出し方」「コンフォートゾーンから抜け出し己に挑戦する!」などのトピックスが話されました。

フォーラムの他にも、チームビルディングを兼ねたドミノ大会も!

―どのイベントも楽しそうですね!参加してみたい!

田川 アカツキ台湾オリジナルのイベントも開催しています。アカツキ台湾が掲げる合言葉「Work hard, Play hard」を体現するイベントとして行われているのが、「AKB」。この活動名は「Akatsuki Kaishin Budget」の略で、「Kaishin」は中国語で「開心:楽しい」という意味の言葉です。社内交流をうながし、メンバーシップを深めるための活動として行っています。

あるときの「AKB」では動物園でリアル宝探しゲームをするイベントを企画

中華圏でも人気のある「人狼ゲーム」も盛り上がりました。

田川 ぼくとメンバーが直接コミュニケーションをとるためのイベントも実施しました。「Katsu-don!」というイベントで、Google 社が行っているタウンホールミーティングを参考に、メンバーから質問を募集し田川がその場で答えるという「オープンで率直に対話できる場」にしています。

田川さん(ファーストネームはKatsuya)が「ドン!」と皆のいろんな質問を正面から受けるイメージで「Katsu-don! 」というイベント名に。

「Katsu-don!」はまじめさや堅苦しさを抑え、ソファに座り下午茶(アフタヌーンティ)をいただきながら参加する、ゆったりとリラックスしたイベント。

―日本のアカツキに似ているところもあれば、台湾らしさを感じられるところもあり、とても新鮮ですね。これからもアカツキ台湾ならではの文化や強みが育っていくのが楽しみです!

田川 働く場所が違っても、同じアカツキのメンバーである我々はめざすゴールは同じです。アカツキ台湾は、アカツキのグローバリゼーションの起点として、時代とともに進化し続け変化に柔軟に対応し進み続けます。

【取材後記】
設立時に築いた関係や文化の共有があるからこそ、アカツキとアカツキ台湾は海を越えて信頼しあえるのですね。

次回は アカツキ台湾 が新しく立ち上げたゲームスタジオ「Silver Lining Studio」についてお伝えします。お楽しみに!

第1回   アカツキ台湾が担う「海外展開」と「多言語カスタマーサポート」の重要性とは

第3回   アカツキ台湾発のオリジナルゲーム『Behind the Frame』。デザイナーが語る、物語への没入のために張り巡らされた工夫

取材/文:Angdres Wu 阿部 真那美 編集:大島 未琴