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アカツキ×トゥーキョーゲームスの新作『トライブナイン』。 多様な個性が交錯する開発の現場とは

2021.09.30

アカツキと『ダンガンロンパ』シリーズなどでお馴染みの小高和剛さんが代表を務めるトゥーキョーゲームスがタッグを組み、開発中の新作ゲーム『トライブナイン(TRIBE NINE)』。アカツキ初の3DアクションRPGとなるこの作品の開発チームには、アプリゲーム/コンシューマーゲームの垣根を越えて個性と才能溢れるクリエイターが集っています。

『トライブナイン』に挑戦する開発チームについて、総合プロデューサー・山口修平に話を聞きました。

山口 修平 Yamaguchi Shuhei『トライブナイン』総合プロデューサー

エニックス(現スクウェア・エニックス)新卒入社後、『ドラゴンクエスト』シリーズのコアメンバーとして活躍。2014年アカツキに入社。トップセールスを記録した複数の著名IPタイトルや、自社IP『八月のシンデレラナイン』のプロデューサーを歴任。2020年6月よりアカツキの執行役員にあたるELT(Exective Leadership Team)として、IP創出の推進役としても活動。

【目次】

「予定調和じゃないIP」を目指しトゥーキョーゲームスと初タッグ
新IP、ハイエンド3D、アクションバトルと挑戦づくしのゲーム開発
アカツキの強み「運用力」で長く愛されるIPを育てたい
コンシューマーとアプリ、多様な個性が交わる開発カルチャー
“自分たちで地図をつくること”を楽しめる人に集まってほしい

「予定調和じゃないIP」を目指しトゥーキョーゲームスと初タッグ

―『トライブナイン』は、どんな経緯ではじまった作品なのでしょうか?

山口  小高さんたちがトゥーキョーゲームスとして会社を立ち上げ独立したタイミングと、アカツキが「ゲームを軸にしたIPプロデュースカンパニー」として舵を切ったタイミングがマッチして、お互いに「いい意味で普通じゃない、新しい挑戦をしたい」と意気投合しました。そこから、『トライブナイン』の企画が始まっていきました。

―トゥーキョーゲームスの小高さんとは、もともとお知り合いだったんですか?

山口  もちろん小高さんの作品は知っていましたが、お仕事をするのは初めてです。

『トライブナイン』は、トゥーキョーゲームスさんからいくつかご提案いただいた、企画の中のひとつでした。『トライブナイン』の世界観の土台となる数枚のイメージボードから、一緒にディスカッションしながらアイデアを膨らませていきました。

話し合いが進む中で、IPの世界観やキャラクターの開発はトゥーキョーゲームスが、アニメやゲームの制作はアカツキが主体と役割は決まりましたが、トゥーキョーゲームスとアカツキで「一緒につくる」ことをとても大切にしていて、お互いに意見を出し合いながら、予定調和なものではない新しい作品をつくろうとしています。

一方で、小高さんたちが手がける作品ですから、超個性的なキャラクターが多数登場するのはもちろん、ストーリーにも相当力が入っています。これまでのスマートフォンゲームだったら「ここまで必要?」と思われるくらい、制作に手間と時間をかけています。すでにダンガンロンパ1本分は軽く超える量のシナリオが制作されていて、運用のことを考えるとまだ増えそうです。制作のことを考えると、プロデューサー泣かせなのですが、その血と汗と涙の結晶が基本無料で読めるようになるわけですから、コンシューマゲームのファンの目線では、それだけでもかなりお得なのではないでしょうか(笑)

また、本作は、ジャンルはアウトローアクションものなのですが、それはあくまでベースで、そこにさまざまなジャンルのお話の要素が組み合わさる、多種多様なシナリオが展開されます。ダンガンロンパシリーズでも見られた小高さんらしい裏切りやブラックユーモアと言った魅力は残しつつ、その多彩な一面が見られる作品になりそうです。

新IP、3D、アクションバトルと挑戦づくしのゲーム開発

―ジャンルが”3DアクションRPG”ということが発表されました。

山口  はい。 今、アカツキでは3Dならではの表現力を駆使したゲーム開発力を獲得するという強い意思でこのゲームに挑戦しています。近年、アプリゲーム市場では、国内外の競合他社からも、とてもクオリティの高い3Dグラフィックを駆使した作品が出てきており、クオリティも年々上がってきています。アカツキとしても、今、ここに挑戦しなくてはという思いがありました。

また、スマートフォンゲームのバトルにアクション性を加えようと思った大きな理由は、体験による没入感です。リアルタイムにキャラクターを操作するアクションRPGは、直感的かつ没入感や爽快感も高くコンシューマゲームの世界ではスタンダードになりつつあります。好きなキャラクターを意のままに「動かせる」感覚はプレイヤーがキャラや世界観にのめり込める魅力があり、それは早晩モバイルゲームにも波及してくるでしょう。ただ、運営型のモバイルゲームで、定期的に操作を求めるゲームが「面倒だ…」と思ったり「自分には難しい…」と感じるプレイヤーも多くいらっしゃることは勿論認識しています。そういった課題をクリアするアイデアも日々頭をひねって考えています。

『トライブナイン』という新IPをつくるだけでも大変なのに、3D、アクションバトルと挑戦づくしです。アカツキにとっても僕自身にも大きな挑戦ですが、むしろそこにワクワクしています。『トライブナイン』はアカツキがゲームカンパニーとして突き抜けるために、会社全体で本気で挑戦しているタイトルなんです。

―『トライブナイン』では、3Dのどんな魅力に焦点を当てていこうと思っているのでしょうか?

山口  3Dは「フォトリアル」と「セルルック」※1の2つに大別されますが、『トライブナイン』ではセルルックのよさを生かしつつ、そのなかでも質感を伴ったユニークな表現を追求しています。また、3Dを採用することでビジュアル面での分かりやすい変化だけではなく、演出としても、カメラワークなどストーリーをより豊かに描く工夫もできると思います。

どう言った方向性を目指しているかは、先日発表させていただいた開発中のゲームのスクリーンショットを見ていただくのが早いかと思います。

※ゲーム画面は開発中のものです

山口  『トライブナイン』の開発では、原作を3Dで忠実に再現するだけでなく、より魅力的に見せることができる3Dグラフィックス表現を目指しています。この技術はさまざまな日本のIPに応用できると考えています。

※ 1「フォトリアル」「セルルック」:3D表現の傾向。フォトリアルは写実的な表現、セルルックはアニメや漫画のような表現

アカツキの強み「運用力」で長く愛されるIPを育てたい

―いままでのアカツキの強みが生かせるような部分もありますか?

山口  もちろんです。一番大きいのは、運用の能力だと思います。アカツキはこれまで、協業先のIPをお借りして開発したゲームタイトルの長期運営で売り上げを伸ばしてきました。また、メディアミックスによってゲーム以外でも話題をつくっていくことで、「長くIPを愛していただく」ということもひとつの得意領域にしています。そうした「これまで培ってきた知見」と、「今回の新しい挑戦」とをどう融合させていくのかを考えながら作品をつくっています。

―メディアミックス展開としては、ゲームに先駆けてまずはアニメが公開されるそうですね。ここにはなにか狙いがあるのでしょうか?

山口  オリジナルIPということもあり、まずは全国の皆さんに、『トライブナイン』の世界観を無料で広く知ってもらえる機会をつくりたいと思っていました。ゲームリリースまでのあいだに、『トライブナイン』というIP自体の魅力に触れていただき、そのうえでゲームを楽しんでいただきたい。『トライブナイン』は、短期集中的にプロモーションをするのではなく、長い時間をかけてIPの魅力を理解してくれるファンとともに成長していきたい、と思っています。

アニメ以外にもWEBTOON(縦読み漫画)という新しいジャンルにもチャレンジすることが決定しています。こちらもご期待いただければと思います。

コンシューマーとアプリ、多様な個性が交錯する開発カルチャー

―現在のところ、開発チームにはどんなメンバーが集まってきていますか?

山口  今回ハイエンドな3Dグラフィックスを駆使したタイトルを開発するに当たり、コンシューマーゲームの開発を経験してきたメンバーや、アプリゲームでも3Dを経験してきたメンバーを広く募集しています。僕自身、もともとはスクウェア・エニックスで『ドラゴンクエスト』シリーズなどの開発にかかわってきましたが、『トライブナイン』の開発チームには、ほかにも皆さんが聞いたことがあるようなタイトルに参加されてきた方が集まってきています。その影響もあり、コンシューマーゲームとアプリゲームのノウハウが合わさった、新しい開発カルチャーが生まれつつあるのを実感しています。一見ばらばらのように見えるな多様なメンバーですが、共通するのは『トライブナイン』の世界観やそこから感じるメッセージに共感しているメンバーである、ということです。一人ひとりのクリエイターが個性を発揮しつつも、『トライブナイン』という旗の下に力を合わせるということを通して、今まさに開発現場ではさまざまな化学反応が起こっています。

規模感が大きなプロジェクトですので、ある程度のメンバー数は必要になりますが、今後もクリエイターの個性を大切にしたチームを構成していきたいですし、多様な文化が集まっていることを楽しみ、成長の糧にできる、そんな人に参加してほしいです。

また、トライブナインについては、開発環境をリモートワークと対面でのコミュケーションのハイブリッドで進めていて、 ※2すでにフルリモートでご活躍いただいている方もおられます。

※2  フルリモートでの勤務は業務の性質や習熟度を鑑みて都度判断しています

―ゼロイチでIPをつくる経験ができる、という部分も魅力的ですね。

山口  そうですね。その部分は開発チームのメンバーも魅力を感じてくれています。また、トゥーキョーゲームスさんが原作ではありつつも、お互いに尊重し合えるような環境にあると思いますので、オリジナルIPをゼロイチでつくる手応えを感じられると思います。

自分としては『トライブナイン』はアカツキの新しいフラッグシップタイトルにしていきたいと考えていますし、開発チームは今後、このタイトル以外も手がけていくつもりです。プロジェクトに途中から参画される方についても、長期的に安定して働けるような環境をつくっていきたい、と思っています。これは『トライブナイン』だけではなく、アカツキのすべての採用にいえますが、直近のプロジェクトでやってほしいことだけではなく、中長期的なキャリアを面接でも相談させていただいて、そのイメージを共有したうえで入社していただきたいと思っています。

“自分たちで地図をつくること”を楽しめる人に集まってほしい

―特に「こんな人材を求めている」という理想像はありますか?

山口  オリジナルIPのタイトル特有の、ぼんやりしたところから形をはっきりさせていくのは難しい作業ですが、実はそれが最もおもしろい部分でもあります。そうやって新しく作品をクリエイトしていくことを楽しめる方であればうれしいです。明確な地図があって、そのとおりに作品をつくるのではなく、「自分たちで地図をつくる」ことを楽しめる方にはいい経験になると思います。

加えて、3Dゲームの開発では、職能の壁を越えてさまざまなディスカッションを続けていくことが特に必要です。大規模なチームで開発をしてひとつタイトルが出来上がっていきますので、チームワークも楽しめる方でもあってほしいです。誰かのアイデアや、誰かから受けた刺激を取り込んで、そこからまた自分のアイデアを出せるような方だとうれしいですね。

―今開発チームに入ってくる方は、『トライブナイン』をつくる方でもあると同時に、今後アカツキが手がける未来のゲームをつくる方でもあるのでしょうか

山口  そうですね。アカツキはもともとモバイルゲームからゲーム開発をスタートして、そこからネイティブアプリゲームの開発に移行する際にも、フラッグシップ的なタイトルが生まれ、そこからアカツキならではのアプリゲームの方向性が定まっていきました。

今回の『トライブナイン』も、僕らのこれからのゲーム開発における、道標となる重要な作品です。今後世界で通用するゲームを送り出していくためのタイトルとして、アカツキが本気で挑戦していく作品だと考えていただければと思っています。

公式サイト:https://tribenine.tokyo/

求人情報:https://tribenine.tokyo/recruit

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文:杉山 仁 写真:大本 賢児