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ゲーム会社のアーティスト職って実際どうなの?「デザイナー職向けトークセッション〜現場で働くデザイナーの本音に迫る〜」セミナーレポート

2024.02.09

アカツキゲームスが久しぶりにアーティスト職の新卒採用を再開しました。新卒採用活動の第一弾として、イマジカデジタルスケープ社とともに、デザインやクリエイティブ職をめざす学生の皆さま向けのセミナーを開催しました。
題して、「デザイナー職向け トークセッション ~現場で働く先輩デザイナーのホンネに迫る!~」。
ゲーム会社が考えている「デザイナーに求められること」や「ポートフォリオ制作のポイント」など、学生のみなさんから寄せられるお悩みに、アカツキゲームス アーティスト職の先輩社員がお答えしました。登壇内容の一部をレポートします。

三浦 翔子 Shoko Miura株式会社アカツキゲームス UIデザイナー

新卒で女性向けソーシャルゲーム会社にUIデザイナーとして入社。新規開発・運用を経験しつつ若手の育成に従事。 その後2020年に株式会社アカツキゲームスに転職し、現在はロマンシング サガ リ・ユニバースのデザインチームのリーダーを担当。

川﨑 亮虎 Ryogo Kawasaki株式会社アカツキゲームス イラストディレクター

2018年に名古屋デザイナー学院を卒業。デザイナー職でアカツキに入社後、他社様との開発プロジェクトを挟んだのち、八月のシンデレラナインのアートチームに配属。 現在は、八月のシンデレラナインのアートチームのリーダーをしており、カードイラストやキャラクター制作のお仕事をしています。

郡司 浩希株式会社イマジカデジタルスケープ 本イベントモデレーター

2015年にイマジカデジタルスケープへ入社以来、クリ博の企業窓口を担当。クリエイターやエンジニアを志望する学生の方向けに、セミナーやイベントなど、いろいろ企画運営しています!お酒(特に日本酒)と音楽、日々の生活を描写したマンガやエッセイが好きです。

相手が想像していることを聞き出すことと、自分の意図を伝えることの両方が大切

郡司さん

まず、最初の質問です!デザイナーになるための必要な要素ってなんでしょうか?

三浦さん

私は10年以上この業界にいるんですが、一番大事なのはコミュニケーション能力だと思います。一人が一生懸命頑張ってできたものよりも、チームを組んで協力しながら作ってできたものの方がより良いものになるんじゃないかなって思うからです。

そういう場面での「コミュニケーション能力」には、2つの要素が必要になります。

1つ目は、「汲み取る力」です。例えば他の職種の人や協業先から「こんなゲームを作りたいから、そのUIをデザインしてくれ」みたいな依頼が来るんですね。そのときに、「どんなゲームが作りたいんだろう」「どんなデザインをイメージしてるんだろう」というような、相手がやりたいことを汲み取ったり引き出す能力です。

2つ目が、「考えて発信する力」です。汲み取って自分の中で咀嚼したものを、どうやってクリエイティブに落とし込むか考え、何でこのクリエイティブになったのかを言葉にして相手に伝える力ですね。

川﨑さん

自分も三浦さんに共感します。イラストディレクターはイラストを描く仕事なんで、当然描く技術も多少は必要なんですけれど、やっぱりコミュニケーション能力は重要ですね。

イラストを描くとき、相手が思っている「可愛い」と、自分が思ってる「可愛い」が全然違うこともよくあります。もらった情報だけで想像して作って、かなり修正が必要になったり。相手が何を求めてるか、自分の言葉にできるぐらいに聞き出すっていうことや、逆にこちらの意図も相手にどれだけ伝えられるかもかなり大事だと思います。

郡司さん

そういったコミュニケーション能力を培っていくにはどうしたらいいでしょうか?

三浦さん

そうですね。めちゃくちゃ簡単な方法がありまして。

相手に興味をもって好きになること」です!

コミュニケーション能力って、いわゆる“陽キャ”みたいな、おしゃべり上手になれっていうわけでは、決してないんです。

「何を考えているんだろう?」と相手のことを知る努力をしたり、いいなと思うところを一つでも見つけることが、コミュニケーション能力を培うために必要なことなんじゃないかなと思います。

ポートフォリオは自分の強みを見せる材料。作品集として細部までにこだわりを

郡司さん

次の質問です。ポートフォリオを作るにあたって、気をつけるポイントはありますか?

三浦さん

大前提として、掲載されているそれぞれの作品の魅力が必要なんですが、そのうえで、まずはポートフォリオ全体が自分の作品になっているかどうかっていうところですね。作品の掲載順番なども含めて、自分の作品集としてブランディングができてるかも、その人がものづくりに対して真摯に向き合っているかが反映されていると思うんです。

大事なのは一貫性。例えば、すごくポップな感じの表紙なのに、開いたらすごく装飾的でゴージャスな作風が続くとか、最初の方はたくさん文字が書いてあるのに、最後の方は作品が単体で載ってるだけっていうような、デザインの統一性がないとか。

載せる作品やレイアウトに対して、統一感や細部までこだわりを持って行えているか、などはよく見ています。

次に、テーマや目的に対して、どんな考えでクリエイティブを制作したのか簡潔に説明できているか。作品の魅力とは別に、作品制作に対する考え方やプロセスも、デザイナーとして大切なポイントだと思います。

川﨑さん

ポートフォリオは技術を判断する材料になるので、自分が他者に見せたい、納得できる作品だけを載せるべきだと思います。ページが足りないからといって、数合わせで納得できない作品を掲載すると、ポートフォリオ自体の魅力が下がってしまう。「自分はここまでできるんです、見てください」と言えるものを掲載してほしいですね。

それから、イラスト職をめざすならもちろんオリジナルのイラストをポートフォリオにも掲載すると思うのですが、その人の考えや個性など理解したいので、文章や説明を添えて出してもらえると嬉しいですね。

もし設定があるのであれば、それについても説明してほしいです。仕事だと設定がないイラストを描くっていうことってほとんどないんですよ。すでにIP展開がされている作品にしろ、オリジナルにしろ、必ず設定や指定がある。そういった設定に合わせて、どのような表現ができるのかはとても重要なので、ぜひ掲載してほしいですね。

郡司さん

応募する会社によってポートフォリオの内容も変えた方がいいんでしょうか。

三浦さん

私の場合は変えませんでしたね。当時の私には、実際にどんな会社に勤めたいか具体的なイメージがなかったので、自分の渾身のポートフォリオを気に入ってくれる会社とマッチングできたら嬉しいなと思っていました。

川﨑さん

受ける会社の求めるテイストに合わせて、自分が納得できる作品が作れるなら、作ってみてもいいと思いますね。ただ、それがもし自分が苦手なジャンルだったら、ただただ弱みを見せるポートフォリオになってしまいますよね。自分の強みを出せる、納得のいく作品を掲載したほうが、やっぱり良いと思います。

郡司さん

川﨑さんはどんなポートフォリオを作っていたんですか?

川﨑さん

今思い返すと、自分がやりたいことを全面的に押し出したポートフォリオを作れていたかなとは思っています。

元々モンスターを描くのが好きだったので、ポートフォリオも「モンスターが登場しそうな雰囲気」でまとめていました。ベースの色も真っ白じゃなくて装飾を入れて、ファンタジー要素を表現してみたり、作品自体も基本的にファンタジーやモンスターを中心に構成していました。最初の方に「ブランディング」という話がありましたが、その当時はそこまで意識していたわけではないですが、自分のテイストややりたいことを中心にまとめた結果、ブランディングに近いものができていたのかなと思います。

郡司さん

自分がこれまで制作していたものを、一つの軸に沿ってまとめていった、ということですね。

「ここで働きたいと思えるかどうか」自分に合う会社の探し方

郡司さん

「どのような軸で受ける会社を選んでいったらよいでしょうか」という質問も、多く寄せられます。

三浦さん

私が会社選びで大切だと思うことを、三つお話したいです。

1つ目が会社が大事にしていることに共感や納得ができるか。会社説明会やホームページで説明されている内容に一つでもピンとくるものがあれば、その会社は自分に合う可能性があるんじゃないかな。

2つ目は、オフィスや社員の雰囲気が自分に合うかどうか。例えばオフィスに見学に行ったとき、すれ違った社員からめっちゃ大きい声で「こんにちは」って言われることに、「怖い」と感じる人もいるだろうし、逆に「活気がある会社で嬉しい」と思う人もいるかもしれない。そういうちょっとしたところの雰囲気が自分に合うかを、しっかり見極めるために足を動かすのはおすすめです。

最後は、「ここで働きたい」と思えたかどうか。その会社の社員と毎日8時間一緒に仕事をしている姿を想像してみて、楽しく働くイメージができたら、入った後も楽しく仕事ができるんじゃないかなと思います。

川﨑さん

インターンとか会社見学に関してはたくさん行った方がいいと思います。自分も実際会社見学をしたときに、聞いていた話と会社の雰囲気が違うぞと感じたりすることがあったので。

あとはイラスト職の方だったら、自分が理想とするイラストを作っている会社を調べて、入りたいプロジェクトやタイトルで会社を選択をしていくっていうのも、ありなんじゃないかなと思います。

苦しくなりがちな就職活動。自分なりの楽しみ方を探してみよう

郡司さん

最後に、学生さんに伝えておきたいことがあれば、お願いします。

三浦さん

就職活動してたとき、結構つらかったんですよね。誰かに選ばれる、選ばれようとする、それで「駄目だった」「よかった」みたいな状況って、知らず知らずに結構心のストレスが溜まっていくんです。

ただ、今面接をする側になって思うのが、学生さんも選ぶ立場なんだってことなんですよね。

企業側が選ぶだけじゃなくて、学生の皆さんも選んでる方だと思って就職活動するのがいいかなと思ってて。「ここに選んでもらわなきゃ自分は駄目かも」じゃなくて、「ここは本当に自分に合う会社なのか」とか、自分もしっかり見極めてるんだって、自信を持って臨んでほしいなって思います。

川﨑さん

自分は専門学生時代に、授業以外の時間に学校で絵の勉強をするグループに入っていたんです。

就活って、自分の作品と企業とのやり取りで個人戦みたいな要素が強いですけど、そのグループの人たちとお互いに、うまくいかなかったときも「こういうふうにした方がよかったかな」みたいな相談をしたり、合格したときに一緒になって喜んだりしたっていうのが、すごく良かったなと思っていて。同じ立場の相談相手になれる人たちと何か話しながらやるっていうのも一つの手かなと思ってます。

三浦さん

あまりに就職活動が嫌すぎて、当時は受ける会社の近くの美味しいカフェとかを見つけて、そこに行くことをモチベーションにしていたりしてましたね。「あのケーキを食べに行くんだ」って。他にも、オフィスビルの高層階にある会社に行くときは「綺麗な景色を見て帰ろう」とか、プラスアルファの楽しみを見つけたりしていましたね。

この他にも「会社の特色の見極め方」、「総合大学、美大、専門学校出身それぞれの悩み」、「ゲーム会社の社員になるには、どれぐらいゲームが好きである必要があるの?」など、学生の皆様から率直な質問をたくさんいただきました。

この記事を読んで、「私ももっと知りたいことがある」「アカツキゲームスの先輩社員と話してみたい」と思ってくださった方がいれば、ぜひアーティスト職の選考でお会いしましょう。

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